一夜漬けの翁

男もすなる競技ぷろぐらみんぐといふものを

自作キーボード「ABQ」を語る

友人のsuikaさんがキーボードを制作してまして、現在私は業務でもプライベートでもこちらのキーボードをバリバリ使い倒させてもらっています。

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ABQ外観

今はもうこのキーボードなしには仕事になりません。普段はリモートで働いていますが、たまの出社時にこれを忘れた日には、ただでさえ低い生産効率が半分になります。

ABQと名付けられたこちらのキーボード、これを作ってくれた友人への感謝も込めて、その魅力を語っていきたいと思います。

出会い

ーーー8月某日

「例のもの、持ってきましたよ」
そう言うと友人はリュックから黒い箱を取り出しました。今日は待ちに待ったキーボード受け渡しの日です。

「ついに自分もマイキーボードを持つことができる…!」と、期待に胸を踊らせ蓋を開けました。

出てきたものがこちら。
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どうみても鉄塊です本当にありがとうございました。

話を聞くと、どうやらこの"キーボード"がちゃんと私の知っているキーボードになるためには、ここから更に「キースイッチ」と「キーキャップ」なるものを買わなきゃいけないようです。

この頃は本当にキーボード界隈に対する知識が皆無だったので、 割とめんどくせー!と思いながら情報収集をしてました。

鉄塊をイケてるキーボードにすべく、let's組み立て!ということで出会い編終わりです。

組み立て

購入!

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キースイッチ:Kailh Speed スイッチ, Dark Yellow (リニア, 70g)
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キーキャップ:AliExpressで買ったオシャレなやつ

揃えるもんは揃えたぜ!と思ったところに友人からLine。「ちゃんとルブ買いました?」

lubricant、潤滑剤です。キースイッチ内部の軸、スプリング、外殻との間で生じる摩擦を低減することで、タイピングエクスペリエンスの向上が見込めるそうです。なんだタイピングエクスペリエンスて。

しかも自転車のチェーンみたく「スプレーでパパっと塗布」とかではなく、一個一個キースイッチを分割して筆で潤滑剤を塗りつける必要があるみたいです。イヤだー!!めんどくさいー!!

でもまぁ、¥10,000以上出してキースイッチ&キーキャップを買ってる時点で一般人からしたらだいぶアレなので、もう沼るところまで沼ることにしました。

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変なことを言っている人(左)と自分(右)

作業!

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① スイッチ分解&潤滑剤塗り
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② スイッチ取り付け
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③ 動作確認 on Remap(後述)
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そしてキーキャップをすべてのスイッチに嵌め込んだら....... .
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f:id:tktk0430:20211229234341j:plain 完成〜〜〜🎉🎉🎉

ということで無事にABQを「僕の知っている」キーボードに仕上げることができました。

スイッチとか潤滑油とか、その他作業に必要な工具とかも揃えたらだいたい¥12,000円はかかっちゃいましたね。。。これもタイピングエクスペリエンスのため。。。!

ABQのいいところ

本題です。ABQは何が素晴らしいのか、語っていきたいと思います。

①コンパクト

まずはなんと行ってもそのサイズに目が行きます。とにかくコンパクトで、キー数はわずか41個です。

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キー配置
一般に40%サイズと言われているもので、テンキーとか矢印キーは当然のこと、ファンクションキーとか、果ては数字キーまで削ぎ落としてしまったのがこのサイズです。

これの何がいいって、ほぼすべてのキーがホームポジションから1キー以内の場所に収まっているんですよね。例外は最下段の両端キーとBキーのみです。

特にエンターキーがホームポジションセット時の右手親指にあるのは本当にありがたいですね。JISだろうとUSだろうと、市販規格はエンターキーが遠すぎるんです。

数字キーが近いのも素晴らしい、、、を話す前に、どうやってこのキーボードで数字を打つのかについて軽く説明すると、レイヤーキーを使います。
ShiftとかControlと似たような種別のキーで、これを押している間は各キーに別の文字種が割り当てられます。

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数字レイヤーのキー配置
例えば自分の設定だと、

  • エンターキーを押しっぱなしにして数字レイヤーに切り替える
  • そのままEキーを押す

と数字の3が打てます。

ABQに変えたことで、ホームポジションを一切崩さずにタイピングできるようになりました。
これだけで相当ストレスが減るので、みなさんもキーボード購入の際は40%キーボードを検討の候補に入れてみてほしいです。

② キー配置の変更が簡単

自作キーボードの魅力として、「キー配置を自分の好きなように変えられる」ことがあげられるかと思います。ただ、一般的にこの作業はそこそこめんどくさいらしく、やれ「ファームウェアをキーボードのマイコンに書き込む」だの、「C言語にてキーマップのコードを変更してファームウェアをビルドする」だの、それなりに面倒くさげな作業を伴うようです。

ABQはブラウザから簡単にキー配置を変更できます。 百聞はなんとやら、ということで配置変更している様子がこちら。

キーボードを繋いで、Remapというこちらのwebアプリにアクセスするだけです。

remap-keys.app

自分の用途・好みにあったキー配置を決めるのもまた自作キーボードの楽しみかと思います。特に最初の頃は適切な配置が全然決まらず、ひたすら試行錯誤を経るフェーズがあります。自分に至っては、半年経った今でもまだ配置に改良の余地が見つかっています。

この過程が簡単に行えるというのもまた、ABQの良さですね。

③ はんだづけ不要

地味にこれが一番でかいかもです。一切のハンダ付けが不要です。

どうも世の中の大概の自作キーボードにはハンダ付けが必須みたいです。当たり前のように必須なので、もはやビルドガイドの「必要なもの」項にも書かれていないレベルです。

でも一般家庭にハンダはないし、一般人にハンダの技術はないんですよね。

ABQは本当に一切のはんだ付け作業がいりません。

【必要なもの(本当)】
・キースイッチ
・キーキャップ
・(タイピングエクスペリエンスにこだわりたい人のみ)潤滑剤

面倒くさい作業はすべて開発者が巻き取ってくれています。なんてユーザー思いなプロダクトでしょう。

ABQをおすすめしたい人

というABQの良さを踏まえた上で、1ユーザーとして以下のような人にABQをおすすめしたいです。

  • お手軽にメカニカルキースイッチ(赤軸とか青軸とか)でのタイピングを始めてみたい
  • ホームポジションを崩さない、無理のないタイピングを経験してみたい
  • 机を広く使いたい

coming soon...

どうやら友人氏、新しいキーボードの開発も進めているみたいで、そちらも軽く紹介。

youtu.be

いやかっけぇ。。。

角度がついたりキー数が少し増えたりしていますが、基本的なコンセプトはABQとほぼほぼ同じっぽいです。少なくとも上述したメリットは全部享受できそう。個人的にはRotary Encoder対応という点にワクワクが止まりません。

いくらするのかわかりませんが自分は値札を見ずに購入しようかと考えてます。新たなタイピングエクスペリエンスを求めて。。。。

友人氏の今後の展望に期待大ですね!

おわり

参考

友人氏のHP

ABQ — Sonatinasonatina.jp